運動器リハビリテーション

運動器リハビリテーションはけがや病気、手術後、スポーツ外傷などにより運動機能が低下した状態を、徒手療法、運動療法を用いて、維持・改善する治療法です。一人一人に適した治療を選択し、起きる、立つ、座るといった基本動作のトレーニングや歩行訓練を行います。また、専用のリハビリ機器や用具を使うこともあります。最新のエコー機器を用いて、外見では判断できない患部の状態を可視化することで的確なリハビリテーションを提供します。

物理療法

痛みの緩和や組織の修復を目的とし、電気療法、牽引療法、温熱療法を実施しております。低周波により血流を促進し痛みを和らげ、頸椎・腰椎を伸ばす牽引療法で筋肉の緊張や神経の圧迫を軽減します。また、マイクロ波や超音波による温熱効果で筋肉のこわばりをほぐし関節の炎症を軽減し、回復をサポートします。

骨折治療器（LIPUS）

骨へ音圧刺激を与えることで骨形成、修復を促進します。継続的に治療を行うことで、治療期間を40%短縮させることが確認されています。

運動器リハビリテーション治療では、骨折、変形性関節症、脊椎疾患、スポーツ障害などの運動器疾患に対し患者様の背景に応じた治療を行います。筋力・関節の機能改善を図ることで、歩行、立ち上がり、階段などのADL（日常生活動作）を再獲得します。より高度な能力が求められるスポーツ活動への復帰を目指して行われることもあります。

首のつけ根から肩、あるいは背中にかけてハリ、コリ、痛みの症状が多く、頭痛や吐き気を伴うこともあります。連続して長時間同じ姿勢をとる、首・背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢が悪い人（前かがみ・猫背）、運動不足、精神的なストレスなどが原因となります。日常生活での注意点もお伝えし、姿勢改善や柔軟性獲得により持続的な改善を図ります。

中年以降、特に50歳代に多くみられます。肩の関節を構成する部分（骨・軟骨・靭帯・腱）などが老化し、肩関節周囲に炎症が起きることが原因と考えられています。
治療が遅れると、関節が硬くなり可動域制限を生じ、症状が長期化する傾向にあります。
関節の拘縮（こうしゅく）予防・改善、筋力強化を行います。

腰痛の多くは、腰椎に負担がかかることで発症しますが、様々な病気が背景になっていることもあります。成長に伴って起こるもの（側弯症、腰椎分離症、先天異常など）、加齢によって起こるもの（椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、変性すべり症など）、腰椎の骨折などの外傷、感染や炎症によるもの（カリエスや化膿性脊椎炎など）、転移癌などの腫瘍によるものなどがあります。診断に応じた運動療法を行います。

変形性関節症は軟骨の摩耗や周囲組織の損傷、炎症を引き起こす疾患で、膝関節、股関節に多く見られます。関節のこわばりや痛み、機能障害を引き起こします。関節周囲の癒着防止や筋力強化が勧められています。

スポーツ外傷には、打撲･捻挫、肉離れ・腱断裂、骨折･脱臼、靭帯損傷などがあり、早期の適切な応急処置が必要になります。スポーツ障害には、テニス肘、野球肘、野球肩、ジャンパー膝、シンスプリント、オスグッド・シュラッター病、グロインペイン（鼠径部痛症候群）、腰椎分離症などがあります。一度の外力で生じるけがだけでなく、スポーツ中の繰り返し動作で生じることも多く、予防やコントロールが重要となります。また、一旦発症すると、症状が長引くことが多いため、スポーツの継続・復帰のためにリハビリテーションやリハビリ機器を用いた治療を行います。

検査・診療について

レントゲンなどはもちろん、エコー検査を用いてレントゲンではわからない筋損傷や靭帯損傷にも対応します。必要があればMRI、CTの撮影もお願いすることがあります。

一般的なトレーニングでは鍛えられない筋肉をバランスよく強化し、柔軟性を高めて可動域を向上させるメニューの専門的な指導を受けることで、特定の筋肉や関節に無理な負荷がかかることを予防します。

筋肉や関節などに無理な力をかけないために、正しいフォームを身に着けましょう。

運動をする前に、関節や筋肉の柔軟性を高めるストレッチングを行ってケガを防止します。

適切なクールダウンを行うことで、疲労・負荷・衝撃などをできるだけ残さないようにしましょう。